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2022.4.15
「アルジェリアの民主化体験とその挫折(1988年~1992年)‐10月暴動、FISの結成から内戦への道の再考‐」(私市正年名誉教授のオンライン講演)



 4月15日(金)、私市正年上智大学名誉教授、当協会理事によるオンライン講演「アルジェリアの民主化体験とその挫折(1988年~1992年)‐10月暴動、FISの結成から内戦への道の再考‐」を開催しました。私市教授はアルジェリアとマグリブの地域におけるイスラーム民衆思想とイスラーム政治運動の研究を専門にされています。
 講演では(1)アルジェリアの民主化はなぜ、どのようにして始まり、挫折したのか。そのプロセスの再検討と(2)民主化体験とその挫折が、その後のアルジェリア政治に与えた影響は何か、軍による政治的自由の統制と政治的意思決定のシステムの検討の2点について、史実をもとに詳細に講義いただきました。
 1988年、経済的混乱と社会的不満を背景に発生した暴動は、軍により鎮圧されたが、同時にシャドリ大統領によって一挙に民主化に向けての政治改革が行われた。複数政党制を容認する動きの中でFISも設立。1991年FISは国政選挙で第一党となるが、イスラム勢力の伸長による共和国体制の崩壊を恐れた軍が介入し選挙は中断、FISは非合法化され弾圧開始。FISの中の多様な潮流が軍・体制との妥協的解決を妨げたとの点もある。アルジェリアはアラブ世界で最初の民主主義国家になるのではないかとの期待はこうして潰えた。FISの非合法化は軍による政治的自由の具体的許容範囲を示した。2019年のHirak運動の挫折の原因もコロナ禍の影響もあるが、アルジェリア政治で権力を握る軍の規制の枠内でしか活動できなかったことの方が大きい。その結果運動で得られたものは少なく、結局今までと変わらない政治が続いているのではとの結論。
 質疑応答では、アルジェリア政治における軍の位置づけ、シャドリ大統領やブーディアフ委員長が出現した背景や思想などが取り上げられました。

以下の添付は講演の関連資料です。参考にしてください。
日本アルジェリア協会講演(2022年4月15日)ZOOMオンライン


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