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2024.10.4
「近現代のアルジェリア美術、そしてこれから」(銅版画家・若井真由夏氏による講演会)


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2024年10月2日、若井真由夏氏(銅版画家)による「近現代のアルジェリア美術、そしてこれから」と題する講演会が在京アルジェリア大使館にて開催された。講演に先立ち、ブーラハベル大使が歓迎の挨拶を行った。 若井氏は、まずアイドゥ・アブドラフマン氏(アルジェ高等美術学校教授)のインタビューから得た知見を紹介しつつ、アルジェリア美術の歴史を、第1世代:1830年-1962年、第2世代:1962年-1980年代末、第3世代 :2000年代以降とする時代区分をされ、 今日のアルジェリア美術に直接的影響を与えたのは第2世代からである、と説明をされた。氏によれば、1962年以後のアルジェリア人の作品には、ヨーロッパ人の単なる模倣ではなく、独立戦争やタッシリ・ナジュールの岩絵などからインスピレーションを得、そこにアイデンティーを重ねた芸術性が見られる、という。 1990年代の内戦期間は、イスラミストによる美術への激しい攻撃があり、芸術家や知識人たちの交流が途絶えるなど、アルジェリア美術界に深刻な打撃を与えた。2000年代に入り、アルジェリア美術があらたに復興したが、これが第3世代の登場であり、その代表的美術家としてモハメド・アズーグ氏の活動が紹介された。 第3世代の特徴は、抽象表現を含め海外の芸術潮流の最先端により敏感で、様々な手法を取り入れることであるとしつつも、この世代もやはりタッシリ・ナジュールの岩絵をはじめ自国の豊かな文化的伝統からも同時に芸術的インスピレーションを得ているという。このような美術史の流れをおいながら、現実的な問題として、 芸術全般への国家の援助の少なさ、美術市場の狭小さ(ギャラリー・オーナーの話)、美術作品を評価できる人の不足、就職の難しさなどが指摘された。アルジェ外の各地に地方美術学校が10校ほどあるが、その多くは物資、予算、人員の不足の問題を抱えている。他方で近年、高等教育以前に本格的な美術教育を行う美術高等学校が、アルジェに開校され、将来に明るい希望が感じられることも付け加えられた。
その後、若井氏自身による銅版画の制作活動について作品の紹介とともに話された。とくにアルジェリアの自然や建物、カスバの住居、ガルダイアの建築など生活体験と作品の芸術的コラボを魅力的に語られた。若井氏の講演後、山内舞子氏(美術史研究者)による補足的説明があった。
報告の後、イスラームの偶像崇拝禁止と美術活動、第2世代における伝統的なものの作品の具体例などについて質疑がなされた。


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