大 中 小 日本アルジェリア協会 | 協会ニュース

協会ニュース

2024.10.4
「近現代のアルジェリア美術、そしてこれから」(銅版画家・若井真由夏氏による講演会)


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2024年10月2日、若井真由夏氏(銅版画家)による「近現代のアルジェリア美術、そしてこれから」と題する講演会が在京アルジェリア大使館にて開催された。講演に先立ち、ブーラハベル大使が歓迎の挨拶を行った。 若井氏は、まずアイドゥ・アブドラフマン氏(アルジェ高等美術学校教授)のインタビューから得た知見を紹介しつつ、アルジェリア美術の歴史を、第1世代:1830年-1962年、第2世代:1962年-1980年代末、第3世代 :2000年代以降とする時代区分をされ、 今日のアルジェリア美術に直接的影響を与えたのは第2世代からである、と説明をされた。氏によれば、1962年以後のアルジェリア人の作品には、ヨーロッパ人の単なる模倣ではなく、独立戦争やタッシリ・ナジュールの岩絵などからインスピレーションを得、そこにアイデンティーを重ねた芸術性が見られる、という。 1990年代の内戦期間は、イスラミストによる美術への激しい攻撃があり、芸術家や知識人たちの交流が途絶えるなど、アルジェリア美術界に深刻な打撃を与えた。2000年代に入り、アルジェリア美術があらたに復興したが、これが第3世代の登場であり、その代表的美術家としてモハメド・アズーグ氏の活動が紹介された。 第3世代の特徴は、抽象表現を含め海外の芸術潮流の最先端により敏感で、様々な手法を取り入れることであるとしつつも、この世代もやはりタッシリ・ナジュールの岩絵をはじめ自国の豊かな文化的伝統からも同時に芸術的インスピレーションを得ているという。このような美術史の流れをおいながら、現実的な問題として、 芸術全般への国家の援助の少なさ、美術市場の狭小さ(ギャラリー・オーナーの話)、美術作品を評価できる人の不足、就職の難しさなどが指摘された。アルジェ外の各地に地方美術学校が10校ほどあるが、その多くは物資、予算、人員の不足の問題を抱えている。他方で近年、高等教育以前に本格的な美術教育を行う美術高等学校が、アルジェに開校され、将来に明るい希望が感じられることも付け加えられた。
その後、若井氏自身による銅版画の制作活動について作品の紹介とともに話された。とくにアルジェリアの自然や建物、カスバの住居、ガルダイアの建築など生活体験と作品の芸術的コラボを魅力的に語られた。若井氏の講演後、山内舞子氏(美術史研究者)による補足的説明があった。
報告の後、イスラームの偶像崇拝禁止と美術活動、第2世代における伝統的なものの作品の具体例などについて質疑がなされた。


2024.6.24
第15回日本アルジェリア協会定例総会開催


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2024年6月21日、麻布の在京アルジェリア大使公邸で第15回定例総会が開催されました。総会ではブーラハベル大使のご挨拶の後に、2023年度活動報告と会計報告が行われ、次いで2024年度の活動方針と収支予算案が協議されました。また、会員から寄せられたアンケート結果をもとに、今後の「講演会テーマ」と「講演会以外の催し物」について活発な意見交換が行われました。総会後には、大使主催の懇親会が開かれ、クスクスやタジンなどアルジェリア料理が提供されました。

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2024.4.18
「ヌミディア王国から見た古代アルジェリア史」(栗田伸子東京学芸大学名誉教授による講演会)

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 2024年4月15日、栗田伸子氏(東京学芸大学・名誉教授)による「ヌミディア王国から見た古代アルジェリア史」と題する講演会が在京アルジェリア大使館にて開催された。講演に先立ち、ブーラハベル大使が都合により欠席されたため、代ってハムルシュ公使が歓迎の挨拶を行った。
 栗田氏は、錯綜したアルジェリアの紀元前の古代史を、ヌミディア人(原住民)の王国、
カルタゴ(国家)、ローマ(国家)の三つの関係を軸にしてわかりやすく整理し、説明された。先ず三つの時代区分を設定し、第1期を前9世紀~前3世紀後半までとし、カルタゴ・ポエニの
影響と、これと平行したヌミディア諸王国の成立、第2期を前3世紀後半~前1世紀後半までとし、共和政期のローマと同盟しての統一ヌミディア王国の成立(マシニッサ王)、第3期を前1世紀後半からとし、ヌミディア・北アフリカがローマ帝国の直接支配下に置かれる時期とする。
報告者は、ここで重要なことは、第1期と第2期の北アフリカ(アルジェリア)社会(国家)は、既に都市化、文明化を達成していたのであり、ローマの支配はむしろそれを逆転させる歴史であった、と指摘された。
 このことを踏まえて本報告の中心テーマであるユグルタ戦争(前111-前105)をとりあげる。
栗田氏は、ユグルタ戦争の評価が分かれることを指摘した上で、北アフリカ史・アルジェリア史の理解におけるユグルタ戦争の意義として、帝国的支配を進めようとしていたローマの支配欲の貪欲さをいち早く告発したこと、 そこに内在する問題を北アフリカ全体の問題として認識した
こと、ヌミディア国民の多くが敗戦直前までユグルタを支持したことから窺える彼の王としての革命的性格などを指摘された。こうして氏は北アフリカ史・アルジェリア史の新たな歴史像の
構築を促した。 報告の後、言語の問題、ユグルタの現代的評価、王墓の建築様式など多くの
問題について質疑が活発に交わされた。


2024.4.2
「アルジェリアの近代建築と都市計画」及び「アルジェリア・ムザブの谷のオアシスにおける伝統的水利システムの形成と変容」(松原康介筑波大学准教授による講演会)


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2024年3月27日(水)14時より在京アルジェリア大使館にて、松原康介・筑波大学理工情報生命学術院准教授による講演会「アルジェリアの近代建築と都市計画」及び「アルジェリア・ムザブの谷のオアシスにおける伝統的水利システムの形成と変容」を開催しました。後者の演題は本来筑波大学の和田夏音氏を講師として予定していましたが、体調不良のため急遽松原准教授が代理で講師を務めたものです。
本講演会は4年ぶりの大使館での対面講演会となりました。
冒頭、ブーラハベル大使より参加者に対し歓迎のご挨拶がありました。

最初の演題では、アルジェリアの建築の移り変わりを、オスマニザシオンやムーア様式に代表される植民都市、ヴィシー政権下の近代建築と辿った後、ガルダイヤの建築に大きな影響を受けたル・コルビュジエとアルジェの都市計画に関与した仏建築家プイヨン、そして独立後のアルジェの集合住宅計画に関わった日本の建築家番匠谷堯二氏について興味深いお話を豊富な写真と共にしていただきました。
また、次の演題では、ムザブの谷独特の地下水利システムについて、和田氏の研究をベースに、洪水を希少な水資源として利用する独特の水利システムをカナート等従来のシステムとの違いなどを含めて説明いただきました。
本日の講演は、アルジェリアの建築、都市計画、水利と専門的な分野ではありましたが、参加者は理解が深まるにつれ、それらの土地を訪問してみたいとの感興を持たれたのではないでしょうか。

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2024.1.31
協会理事会の開催


去る1月26日に、日本アルジェリア協会は駐日アルジェリア大使公邸で理事会を開きました。
従来から、協会の定例総会と理事会は、協会名誉会長の駐日アルジェリア大使の同席の下で
行われていました。
今回はブーラハベル新大使及び大使館関係者の出席を得て、今後の協会の活動等について活発な意見交換を行うことができました。


2023.12.27
「アルジェリア独立戦争とド=ゴールの役割」(末次圭介専任講師のオンライン講演)

   


2023年12月19日(火)18時より、秀明大学学校教師学部の末次圭介専任講師によるオンライン講演会「アルジェリア独立戦争とド=ゴールの役割」を開催しました。
まず、前史から第二次大戦にいたるまでのアルジェリアの歴史について概要を話して頂きました。フェニキア、ローマ、オスマントルコ、そしてフランスとアルジェリアの領土が帝国に支配されていく過程を時代を追って説明いただきました。
続いて、第二次大戦後のアルジェリア独立運動から独立戦争へと進んでいく過程と、第四共和政から「救国の英雄」ド=ゴール登場による第五共和政成立までのフランス国内政治の混沌とした状況を簡潔に説明いただきました。
そして、アルジェリア独立戦争の激化に伴い第五共和政で大統領となったド=ゴールが、
アルジェリア和平に向けて、アルジェリア独立承認へとスタンスを変えていった経緯が説明されました。
アルジェリア独立に至るまでの複雑な状況と、独立した後もアルジェリアとフランスの二国間関係には多くの問題と課題を残したことを改めて認識する機会となりました。


2023.10.23
新アルジェリア大使のご着任


8月にカティ・アルジェリア大使が離任され、今般後任のファリード・ブーラハベル
(Farid BOULAHBEL)大使が着任されました。前職は外務省の領事局長でした。
先週、協会の小川会長が目黒の大使館に新大使を訪問し、今後の日本アルジェリア協会の活動について意見交換を行いました。大使館と協会は二国間の友好関係を一層増進するべく協力していくことで意見が一致しました。
なお、新大使は協会の名誉会長に就任されました。


2023.6.26
第14回日本アルジェリア協会定例総会開催

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2023年6月16日、在京アルジェリア大使公邸で第14回定例総会が開催されました。総会では2022年度活動報告と会計報告が行われ、次いで2023年度の活動方針と収支予算案が協議されました。また、今まで3年間会費を滞納した場合に自動的に退会となったところを、2年間滞納で退会となるように会則が改正されました。また理事の一部交替が行われ、神谷監事は退任し名誉顧問となりました。
総会後には、カティ駐日アルジェリア大使からアルジェリア情勢につき講演が行われ、その後引き続き大使主催の懇親会が開かれ、クスクスなどアルジェリア料理が提供されました。

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2023.4.27
「ポスト・コロナのアフリカを展望する」(白戸圭一教授のオンライン講演)


2023年4月25日(火)18時より、立命館大学国際関係学部の白戸圭一教授によるオンライン講演会「ポスト・コロナのアフリカを展望する」を開催しました。
まず、アフリカにおけるコロナ禍の全体的な状況について概要を話して頂きました。アフリカでは医療・衛生水準が低いものの、圧倒的に青少年人口が多いこともあり死者・重症者数は相対的に抑えられ、現在ではほぼ正常の生活に戻っているとのことでした。
続いて、アフリカにおける経済・社会の状況について説明があり、スマホやデジタルファイナンスなどがアフリカ諸国で著しく普及し、経済成長が続いていることと合わせ、SNSの普及に伴うフェイクニュースの拡大や政情不安などの問題点などについても、直近のウクライナ戦争やそれに伴う物価上昇・生活困難などの課題を踏まえながら、詳しく話して頂きました。環境問題・気候変動などのテーマに関する質疑応答もあり、アフリカの現状について知るいい機会となりました。


2022.10.6
「最近のアルジェリアの政治経済情勢」(河野章駐アルジェリア日本大使の講演)




2022年9月30日(金)18時よりオンライン(ZOOM)にて、河野章駐アルジェリア日本大使による講演会「最近のアルジェリアの政治経済情勢」を実施しました。
河野大使にはアルジェリアの最近の国内の政治動向や社会情勢、経済状況および対外関係、国内への投資促進策などについて話して頂きました。
コロナ禍を経て、ウクライナ情勢もあり食料品価格や油価の高騰など、アルジェリアも新たな試練に直面する中、失業保険の導入などの社会保障整備、自動車分野や再生可能エネルギーをはじめとする経済の多角化、投資促進のための規制緩和の取り組み状況などについて、興味深く知ることができました。
講演終了後、ZOOMで参加した会員の皆様と活発な質疑応答が行われ、アルジェリアの現在や今後の日本企業含む経済発展の見通しについて、様々な議論を行うことができました。


2022.7.5
アルジェリア独立60周年記念オンライン式典のご案内


今年はアルジェリア独立60周年及び日本アルジェリア国交樹立60周年の年に当たります。
在京アルジェリア大使館はコロナ禍のために対面での式典に代え、オンライン式典を企画しました。
独立記念日の7月5日、17時より添付資料の要領でオンライン式典が配信されます。
以下のYouTubeのサイトをクリックするか、在京アルジェリア大使館ホームページからご覧いただけます。
https://youtu.be/PJ0O1Dog07E   [添付資料ダウンロード]


2022.6.7
第13回日本アルジェリア協会定例総会(書面議決)


新型コロナ感染状況に鑑み、第13回定例総会は書面議決により行われました。6月6日までの表決の結果、2021年度活動報告及び会計報告、2022年度活動方針及び収支予算案、会則の改正の各議案が可決・承認されました。

講演会等の行事については、感染の収束状況を勘案しつつ、在京アルジェリア大使館とも協力しつつ実施する方針です。


2022.4.15
「アルジェリアの民主化体験とその挫折(1988年~1992年)‐10月暴動、FISの結成から内戦への道の再考‐」(私市正年名誉教授のオンライン講演)



 4月15日(金)、私市正年上智大学名誉教授、当協会理事によるオンライン講演「アルジェリアの民主化体験とその挫折(1988年~1992年)‐10月暴動、FISの結成から内戦への道の再考‐」を開催しました。私市教授はアルジェリアとマグリブの地域におけるイスラーム民衆思想とイスラーム政治運動の研究を専門にされています。
 講演では(1)アルジェリアの民主化はなぜ、どのようにして始まり、挫折したのか。そのプロセスの再検討と(2)民主化体験とその挫折が、その後のアルジェリア政治に与えた影響は何か、軍による政治的自由の統制と政治的意思決定のシステムの検討の2点について、史実をもとに詳細に講義いただきました。
 1988年、経済的混乱と社会的不満を背景に発生した暴動は、軍により鎮圧されたが、同時にシャドリ大統領によって一挙に民主化に向けての政治改革が行われた。複数政党制を容認する動きの中でFISも設立。1991年FISは国政選挙で第一党となるが、イスラム勢力の伸長による共和国体制の崩壊を恐れた軍が介入し選挙は中断、FISは非合法化され弾圧開始。FISの中の多様な潮流が軍・体制との妥協的解決を妨げたとの点もある。アルジェリアはアラブ世界で最初の民主主義国家になるのではないかとの期待はこうして潰えた。FISの非合法化は軍による政治的自由の具体的許容範囲を示した。2019年のHirak運動の挫折の原因もコロナ禍の影響もあるが、アルジェリア政治で権力を握る軍の規制の枠内でしか活動できなかったことの方が大きい。その結果運動で得られたものは少なく、結局今までと変わらない政治が続いているのではとの結論。
 質疑応答では、アルジェリア政治における軍の位置づけ、シャドリ大統領やブーディアフ委員長が出現した背景や思想などが取り上げられました。

以下の添付は講演の関連資料です。参考にしてください。
日本アルジェリア協会講演(2022年4月15日)ZOOMオンライン


2022.01.07
新アルジェリア大使のご着任

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昨年12月初旬に前任のベンシェリフ特命全権大使の後任として、ラルビ・カティ(Larbi KATTI)特命全権大使が着任されました。前職は本国の外務省アメリカ局長をされていました。
昨年末に当協会の小川会長は同大使を目黒のアルジェリア大使館に訪問し、同大使からは協会名誉会長への就任をご快諾いただきました。
また、今後の協会活動等について意見交換を行い、コロナ禍の状況を見つつ、従来通り大使館で各種行事ができるよう目指すことで意見が一致しました。


2021.12.15
「現代中東の政治とイスラム」(内藤正典教授のオンライン講演)

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12月15日(水)、内藤正典同志社大学大学院教授によるオンライン講演「現代中東の政治とイスラム」を開催しました。
内藤教授は多文化共生論、現代イスラーム地域研究を専門とされ、講演ではアメリカのプレゼンスが低下する中での中東を取り巻く国際環境について詳細かつ網羅的に講義いただきました。

中東地域ではイスラムが域内情勢の主役から後退し、各国の経済権益が優先される傾向が出てきたこと、紛争の多発する中東は大量の難民・移民を生んでいるが、同時に流入先のEUの不安定化・右傾化につながっていること、アフガニスタンではタリバン政権の到来を懸念する声が大きいが、イスラム主義の勝利ではなく祖国解放運動の勝利とみるべきこと、アルジェリアに関しては、大国から距離を置いた非同盟中立政策は賢明な政策と言えること、最近のHirak運動も国民各層を取り込み平和裏に行われた経験は、国民に共有される「歴史」として大きな意味を持つことなどが指摘されました。

質疑応答では、アラブ諸国とイスラエルの関係樹立、パレスティナ問題への影響、トルコ・エルドアン大統領の再選可能性などが取り上げられました。


2021.11.05
「アルベール・カミュのアルジェリア、そして日本」(茨木博史氏のオンライン講演)

     

  


2021年10月29日(金)、アルジェリア協会初となるオンライン(Zoom利用)形態で、茨木博史さん(伊藤忠商事アルジェ事務所長補佐)による講演会「アルベール・カミュのアルジェリア、そして日本」を開催しました。
アルジェリア在住で、大学院博士課程でカミュを研究してきた茨木さんから、戦前から独立戦争期に至るまでのカミュの歩んだ道のりや様々な文学作品の紹介、そして他のアルジェリア文学者との交流や独立戦争との関わり方など、幅広いテーマでお話を頂きました。
さらに、日本の知識人・文学者が、母国日本によるアジアの植民地支配の歴史や当時の沖縄の現状などとも重ね合わせながら、アルジェリアの独立闘争について様々な形で擁護し、日本の読者に対して紹介してきた話も興味深いものでした。活発に質疑応答も交わされ、アルジェリアにおけるコロナ禍の現状などについても説明があり大変興味深い話を聞くことができました。

以下の添付は講演のパワポと茨木氏提供の関連資料です。参考にしてください。

アルベール・カミュのアルジェリア、そして日本
講演引用集
カミュを読む中村光夫
日本人作家と植民地アルジェリア


2021.10.15
アルジェリア関連図書のご案内

コロナ禍のため外出もままならない中、読書に親しまれる会員の方もいらっしゃると思います。
これから折に触れアルジェリア関連の新刊・旧刊についてご案内していきたいと思います。
まずは当協会理事の私市上智大名誉教授等の翻訳による「ベルベル人ーー歴史、思想、文明」をご紹介します。
添付資料をご覧ください。[添付資料ダウンロード]


2021.06.19
第12回日本アルジェリア協会定例総会(書面議決)

新型コロナ感染状況に鑑み、第12回定例総会は、書面議決により、行われました。6月18日までの表決の結果、
①2020年度活動報告及び会計報告、②2021年度活動方針及び収支予算、③理事の選任、④監事の設置(会則改正)及び選任 の各議案が可決・承認されました。小川和也氏が新会長に選任され、神谷武氏は、会長を退任し、監事に選任されました。
堀江恭子氏は、理事を退任しました。


講演会等の行事については、感染の収束状況を勘案しつつ、実施する方針です。


2021.04.24
兼原信克・同志社大学特別客員教授による講演会

         


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2021年4月24日(土)、学士会館にて、コロナ感染対策を講じつつ、兼原信克・同志社大学特別客員教授(元内閣官房副長官補・国家安全保障局次長)による講演会を開催しました。演題は、「バイデン外交と中東」。外務省・内閣官房での長年の勤務経験による外交・安全保障問題についての豊富な知見に基づき、世界の地理と歴史を俯瞰し、エピソードを交えつつ、以下の論点を中心に、国際情勢が論じられました。
 

1.バイデン政権成立に至る米国の状況(製造業衰退による労働者層のトランプ支持の増加、コロナ禍・人種問題を契機とする民主党中道のバイデン優勢への流れ。)


2.バイデン外交の特徴(同盟関係重視、欧州、中東、特にアジアが焦点。)


3.アジアにおける中国の台頭、台湾有事、尖閣・先島諸島の問題(20世紀後半、独立したアジア諸国は共産化、開発独裁化。しかし80年代後半から民主化して発展。中国は共産主義のまま経済発展し、軍事費増大。台湾有事への警戒。台湾有事は日本有事に直結の恐れ。尖閣は米国が日米安保条約第5条の共同防衛をコミット。)


4.中東(イラン核合意の問題点:2025年の期限、ミサイルが対象外、イランのレバノン・シリア・イラク・イエメンへの影響力。米露の影響力低下とイラン、トルコの影響力増大。サウジ他アラブ諸国とイスラエルの接近へ。)


5.アルジェリア(開発独裁の行き過ぎ。国民の力を生かせない。アラブの春は、石油資源もあって持ちこたえた。しかし、資源がありすぎると発展しない。本来はポテンシャルのある国。)


講演に続き、質疑応答では、地政学的リスク、経済安全保障(半導体の問題など)、サイバー・セキュリティの問題、米・イラン関係、パレスチナ問題等に関する米国のポジションなどが取り上げられ、活発な議論が行われました。


2020.12.12
小川和也駐アルジェリア大使による講演会

         


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2020年12月12日、学士会館にて、コロナ感染対策が講じられる中、 協会主催の小川和也駐アルジェリア大使の帰朝講演会が行われました。 テーマは、「アルジェリアの現状と日本・アルジェリア関係」であり、 その要旨を以下に記します。 [配布資料ダウンロード]
 

1.2019年2月、ブーテフリカ大統領の5期目の立候補に反発する民衆のデモが全国的に広がり、4月、国軍トップの要請により、同大統領が辞任した。その後もデモは継続、12月、大統領選挙において、「憲法改正、新しいアルジェリアの構築」を公約に掲げたテブン大統領が当選。憲法改正は、2020年11月、国民投票により成立したが、同大統領がコロナに感染してドイツに移送されたまま、既に1か月半が経過しており、政治シナリオが不透明となっている。


2.経済面では、経済の多角化が図られ、新しい自動車産業政策が打ち出されているが、その実行可能性が問題。外国投資の誘致促進のため、エネルギー等戦略部門を除き、51/49原則が撤廃された。


3.フランスとの間では、130年間の植民地政策と8年間の独立戦争、サハラ砂漠での核実験の後遺症等をめぐる問題につき、強い姿勢をとっている。


4.コロナ禍のため、3月以降、外出禁止、集会禁止、空港閉鎖あり、政府はコロナ対策に忙殺され、デモも停止している。石油価格下落もあり、経済は停滞。


5.なお、民衆デモも治安当局の対応も抑制的であり、日常生活も経済も回っていた。(1990年代の混乱の経験があるためと見られている。)


6.日本との関係については、2018年、河野外務大臣が訪問、2019年、TICAD7にベドゥイ首相が出席した。外相の訪日が期待されている。貿易・投資の促進が課題、日・アルジェリア官民合同経済委発足につき折衝中。投資協定、租税条約が長年の懸案。貿易投資促進官民合同ミッションの派遣が望まれる。

活発な質疑応答が行われ、西サハラ問題、アラブの春、イスラミストの状況、中国の進出、イスラム化、科学技術の人材育成への協力など様々な問題が取り上げられました。


2020.10.15
映画「パピチャ 未来へのランウェイ」ご案内

「映画配給会社クロックワークスより、映画「パピチャ 未来へのランウェイ」が近く公開されるとして、当協会あてに案内がありましたので、ご連絡します。

https://japan-algeria-association.jp/download/PAPICHA.pdf

本作は、本年度のアカデミー賞国際長編映画賞(旧外国語映画賞)のアルジェリア代表に選出され、今年のセザール賞(フランスにおけるアカデミー賞)では2冠を獲得しています。
90年代のアルジェリアを舞台として、大学寮で、ファッションデザイナーになるという夢を追いかけた少女とその友人たちとのかけがえのない友情と、日々失われていく自由への渇望とその闘いを描いた青春映画、ムニア・メドゥール監督自身が90年代を過ごしたアルジェでの経験を元に制作されたフィクション映画です。

<作品情報>
映画『パピチャ 未来へのランウェイ』10月30日(金)ロードショー
上映劇場ほか詳細は公式サイト( https://papicha-movie.com/ )をご覧ください。

更に、"日本アルジェリア協会会員の方限定!"「映画を観て、抽選でパンフレットをもらおう」キャンペーンの開催が決定いたしました。
※ご応募の際には、下記の注意事項を必ずご確認・ご了承ください。

■対象者:日本アルジェリア協会会員で映画『パピチャ 未来へのランウェイ』を映画館でご鑑賞された方。

■賞品:<5名様>映画『パピチャ 未来へのランウェイ』 正規パンフレット(当協会・私市正年理事の解説寄稿あり)

■応募期限:11月30日(月)まで必着分

■応募方法:

①映画館で映画『パピチャ 未来へのランウェイ』を鑑賞

②以下をはがきに(または、封書にて)貼付・記載
・鑑賞時の半券(1枚/1口)を貼付
・氏名
・郵便番号
・住所 ※集合住宅にお住まいの方はマンション名・部屋番号まで必ず記載ください
・協会会員と明記ください

③2021年11月30日(月)まで必着で以下に郵送
〒153-0063目黒区目黒3-9-1 目黒須田ビル701
㈱クロックワークス 映画『パピチャ 未来へのランウェイ』担当宛

<注意事項>
※ハガキ、もしくは封書にてご応募ください。映画鑑賞時の半券は劇場名記載のものとなります。
※ハガキでのご応募の場合は、半券は剥がれないように貼付してください。到着時に貼付なきものは無効となります。
※本キャンペーンへのご応募は日本国内に在住し、賞品の発送先が日本国内の方に限らせて頂きます。
※当選者は厳正なる抽選により選出されます。抽選結果は賞品の発送を以て代えさせていただきます。
※当選結果や経過に関するお問い合わせにはお答え致しかねます。
※お一人様一回のみの当選となります。
※賞品の発送は12月上旬~中旬を予定しております。
※ご応募された個人情報は賞品の発送及び当選者への諸連絡にのみ使用し、その他の用途には一切使用いたしません。
(プライバシーポリシーについてはこちら→ https://klockworx.com/privacy/

主催:㈱クロックワークス TEL: 03-5725-3444
協力:日本アルジェリア協会


2020.06.19
第11回日本アルジェリア協会定例総会(書面議決)開催

新型コロナ感染状況に鑑み、第11回定例総会は、書面議決により、行われました。6月18日までの表決の結果、2019年度活動報告及び会計報告、2020年度活動方針及び収支予算、並びに、理事の選任の各議案が可決・承認されました。
講演会等の行事については、開催を見合わせていますが、今後、感染の収束状況を勘案しつつ、実施します。また、渡部秀文理事が選任されました。小野照政、山口哲朗の両理事が退任し、名誉顧問に就任しました。


2020.02.28
サハラ先史岩壁画写真展(2020.4.29~5.6)延期

来る4月29日より5月6日まで、目黒区美術館区民ギャラリーにて開催予定の「サハラに眠る先史岩壁画」英隆行写真展(日本アルジェリア協会ほか後援)は、新型コロナウィルス感染状況に鑑み、延期されることとなりました。
延期後の開催日程については、後日お知らせします。


2020.02.14
青柳悦子・筑波大学教授による講演会

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2020年2月14日、在京アルジェリア大使館にて、青柳悦子•筑波大学教授による講演「アルジェリアにおける日本式マンガ」が行われました。アルジェリアでは、2007年、日本式マンガに特化した出版社が創設され、また、同年より毎年「アルジェリア国際漫画フェスティバル」が開催されています。アラブ諸国ではヨーロッパ風の漫画や風刺画が一般的ですが、アルジェリアでは若年層に日本式マンガが広まり、作品には、アルジェリアの伝統、慣習、地方文化、友情・恥じらい、社会問題、人間ドラマ等々が日本のマンガのスタイルで描かれています。このような若者文化は、娯楽を求める新たな動きであり、昨年来の"スマイル・デモ"(アルジェリアという国をよくしたいという動き)との関連性が感じられます。マンガの出版・流通・資金面での課題があり、これらの漫画家達が「日本大好き」であるので、日本からの支援が期待される等、議論が行われました。活発な質疑応答の後、懇親会が行われました。

 

[講演会配布資料ダウンロード]


2019.12.06
髙橋克彦・外務省中東アフリカ局長による講演会

2019年12月6日、在京アルジェリア大使館にて、髙橋克彦・外務省中東アフリカ局長により、「中東・北アフリカ情勢」と題して講演が行われました。マグレブ三国が、アラブの春を経て、政治的安定性を維持しつつ、欧州とサブサハラ・アフリカとの経済的繋がりの優位性の下、経済的に重要な位置を占める一方、格差・失業・難民等の問題を抱えていること、特にアルジェリアについては、12月12日の大統領選に向けての動向とその注目点が述べられ、また、若年層の欲求に応えられない既存の体制の変革を求めるデモの発生が中東地域に見られること、また、東西に分裂するリビア、政権運営の安定するエジプトの状況、サヘル地域のテロ事案発生の北アフリカ地域への影響等につき説明がありました。質疑応答では、西サハラ問題、脱石油に向けての産業多様化や太陽光発電など再生エネルギー開発への協力に言及があり、引き続いて懇親会が行われました。


2019.09.20
ベンシェリフ大使による講演会

2019年9月20日、在京アルジェリア大使館において、ベンシェリフ大使の講演が行われました。
「アルジェリアの状況:争点、挑戦、及び、展望」と題して、アルジェリアにおける本年2月以降の未曾有の大衆運動と民主的対話のプロセスを経て12月12日の大統領選挙実施の決定が行われたことの意義が論じられ、また、経済面での諸改革が日本の企業と経済協力諸機関の期待に沿うものとなって両国間の関係に明るい展望が開かれるであろうとの期待が表明されました。質疑応答において議論が深められ、講演会終了後、懇親会が行われました。[講演要旨ダウンロード]